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一眼 ロッコ・モラビト
1967年7月17日。フロリダ。
蒸し暑い日。停電。最悪。
電信柱の上のほうで。
電線の作業員の男二人がキスしていた。深く。
決してふざけているわけではなく、必死。
一人は、高圧電線に触れてしまい、
2100ボルトの電流に心臓を止めてしまった男。
気絶し、逆さまになった体勢の男を
もう一人の男がしっかりと抱えながら、
口移しで人工呼吸を始めたのだ。
力を失った体に、再び命を吹き込まなければ。
そして、なんとか息を吹き返した。
いのちのキス。
その光景を
取材中のジャクソンビル・ジャーナル紙の
ロッコ・モラビトがカメラにおさめた。
写真は
1968年ピューリッツァー賞受賞。