奥村広乃 13年10月13日放送
わが子のための引越し
中国の故事に、
孟母三遷(もうぼさんせん)という話がある。
孟子が幼い頃、彼の家は墓地のすぐ側にあった。
そのためいつも、葬式のまねごとばかりしていた。
それを見た孟子の母は引越しを決意する。
次に住んだのは市場の近く。
孟子は商人の駆け引きのまねをして遊ぶようになる。
母は、2度目の引越しを決意する。
次に選んだ住まいは、学校のそば。
孟子は、学生たちの祭礼の儀式や、
礼儀作法の真似事をして遊ぶようになった。
母は安心し、学校のそばに腰を落着ける。
そして孟子は勉学にはげみ、
孔子とならぶ、代表的な儒学者となる。
少年老いやすく学なりがたし。
母の想いがひしと伝わる故事だが、
今の日本で子供のために3度も引越すのは
簡単ではなさそうだ。