佐藤理人 13年11月10日放送
eye2eye
ナディア・コマネチ④ 「モスクワ」
共産主義国家で10代を過ごすのは楽じゃない。
金メダリストなら尚更だ。
モントリオールオリンピックの後、
ナディア・コマネチは荒れた。
厳しい練習。国からのプレッシャー。
国家の英雄とは思えない貧しい暮らし。
報われない虚しさが彼女から
体操への情熱を奪い去った。
彼女は10代の少女らしく、
毎日を勝手気ままに過ごした。
しかし一度特別な世界を見た者が
普通の暮らしに満足できるはずがない。
心はいつも空虚だった。
1980年のモスクワオリンピックに出よう。
コマネチは終わった
と言うマスコミが間違ってると証明するために。
そして辞めよう。新しい人生を始めるために。
結果は銀メダル。
彼女は体操にもう何の未練もなかった。