人の体内は、いちばん身近な未知の世界。
それを覗き見ることにはじめて成功したのは、
19世紀半ばのドイツの内科医、アドルフ・クスマウル。
人間の内蔵を見るには、手術しか方法がなかった時代。
なんとか切らずに見ることができないかと考えるうち、
クスマウルは口から長い筒を入れて胃の中を覗くことを思いついた。
しかし完成したのは現在の内視鏡とは違い、
まったく曲がらない金属製の筒。
そこでクスマウルが連れてきたのは、中国人の大道芸人。
剣を飲み込む要領でこの筒を飲ませようと考えたのだ。
芸は身を助けるというが、
この芸は医学の進歩を助けてくれた。