藤本宗将 13年11月30日放送
インナーワールド アドルフ・クスマウル
「胃の中を撮影するカメラをつくってほしい」
カメラメーカーの主任技師であった杉浦睦夫のもとに、
そんな奇妙な依頼が舞い込んだ。
依頼主は外科医・宇治達郎。
杉浦を出張先まで追いかけて熱心に説得したが、
多忙な彼からいい返事はもらえなかった。
しかし東京に戻る列車の中で運命は変わる。
その日に大型台風が関東を直撃。
一晩中閉じ込められて話し合ううち、議論が白熱。
ついにふたりは開発を決心する。
そして1950年、世界初の胃カメラが完成した。
異質なものがぶつかって、イノベーションは生まれる。
そのための密室を運命が用意したのかもしれない。