2013 年 11 月 のアーカイブ

小林慎一 13年11月9日放送



女の話 お仙

お仙の茶屋へ腰をかけたら
渋茶を出して
渋茶よこよこ横目で見たらば
米の団子か 
土の団子か

200年以上昔、江戸時代は明和年間のころ、
手毬歌にも唄われた絶世の美女、お仙。

お仙は水茶屋で働く茶汲み女。
いまでいうウエイトレス。
その美少女ぶりが、浮世絵師の目にとまり、
錦絵に描かれてたちまち江戸のアイドルに。

彼女を一目見ようと客が押し寄せ、
お茶屋が大繁盛したばかりか、
お仙キャラクターの
手ぬぐい、双六、人形といったグッズが大いに売れに売れた。
お仙をモデルにした芝居も大当たり。
経済効果は抜群だった。

もうひとりのアイドルだった柳家のお藤も、
錦絵や手ぬぐいを売り出してはみたが
江戸トップアイドル対決の軍配はお仙に。

お仙は人気絶頂の19歳で引退し、幸せな結婚生活を送ったとか。

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道山智之くん12月参戦

12月参戦。
道山智之くんです。
お楽しみに。

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大友美有紀 13年11月3日放送



「文具の日」岡本光司

11月3日、文化の日。
今日は文具の日でもある。
昭和62年、東京都文具事務用品商業組合が
中心となって製造、配送、販売の3団体が
協議して制定した。

 文具は、文化と歴史の伝承を担っている。

その周知を任されたのは岡本光司。
上野の岡本紙文具店の、現在の会長だ。
明治5年創業。寺社に紙、筆、墨、硯を納めてきた。
伝承の現場を知りつくした人物だ。

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大友美有紀 13年11月3日放送


diversita
「文具の日」モレスキン

11月3日は文化の日であり、
文具の日でもある。

世界的に有名なノート、モレスキン。
その原型は、フランスの小さな製本業者が作ったもの。
ピカソ、ゴッホ、ヘミングウェイ、
世界中の芸術家がパリを訪れ購入した。
でも、家族経営のその製本業者は倒産してしまった。
丸い角を持つ黒のシンプルな長方形、ノートを束ねるゴムバンド、
そして内側のマチ付きポケット。
伝統を継承し甦らせたのは、イタリアの出版社。
ブランドを旗揚げしたのはマリア・セレゴンディ。

 ブランドには「物語」があることが重要です
 そして、持っている「モノ」が、その人の個性を規定し、
 情緒的な面を詰め込む存在になる。

モレスキンに、自分の物語を表現する。個性を詰め込む。
使う人それぞれの芸術が開花する文房具だ。

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大友美有紀 13年11月3日放送



「文具の日」黒田善太郎

11月3日は文具の日でもある。
日本の大手文具メーカー、コクヨの創業者・黒田善太郎は、
明治38年、大阪に和式帳簿の表紙店を開業した。
帳簿の表紙の製造だけを問屋から請け負う仕事。
商人の顔ともいえる表紙だが、
価格は帳簿全体の5%でしかなかった。

 人の役に立つことをしていれば、必ず受け入れられる。

黒田はその信念で仕事に打ち込んだ。
「黒田の表紙でなければダメだ」と
言われるまでになった。

そして、和式帳簿そのものの製造を始める。
その時にこだわったのが「正百枚(しょうひゃくまい)」。
中味の枚数が、正確に100枚であることだった。
なんと、当時は百枚綴りとしながら、
表紙・台紙を入れて百枚とする業者もあったのだ。
割高になる、けれどお客様のため正百枚を押し通した。

今でもコクヨの便せんには「正百枚」の表示がある。

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大友美有紀 13年11月3日放送


Lukas Vermeer
「文具の日」モンブラン

11月3日、文化の日、文具の日でもある。

 ハイクラスのゴールド万年筆を創る。

これは、モンブラン創業当時のキャッチフレーズ。
もともとの会社の名は、シンプルという言葉に由来した
「シンプロフィラーペン カンパニー」。
ペンとインク容器を一体化した
ニューデザインの筆記具であることを強調したのだ。

モンブランの名がついたのは、
経営者の親戚がカードゲームをしていた時に、
ペンの形がモンブラン峰と似ていると指摘したから。
最初から最高峰だったわけではない。
でも、結果として筆記具の最高峰となった。

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大友美有紀 13年11月3日放送


marellinux
「文具の日」ファーバーカステル

11月3日、文具の日。

世界で初めて鉛筆を製造したのは、
ドイツのファーバーカステル社。
世界最古の製造業とも言われている。
8代にわたるファミリーカンパニーだ。

親指、人差し指、中指、3本の指の倍数だから
六角型がもっとも指にフィットしやすい、と考えたのは
4代目のローター・ファーバー。
鉛筆にA.W.FABERの刻印を入れたのもローバー。
世界初のブランド鉛筆を誕生させた。

6代目のアレクサンダー・ファーバーカステル伯爵は軍人でもあった。
それをイメージさせるため、ブランドカラーを深緑色に、
トレードマークは馬上で闘う騎士となった。
騎士が手にしているのは剣ではなく、鉛筆だ。

 どんなライバル社にも打ち勝つ、価値の高い1本。
 その思いが込められている。

 
その思いの通りに
ギュンター・グラス、ウラジミール・ナボコフ、
カール・ラガーフェルドも
ファーバーカステルの鉛筆を愛していた。

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大友美有紀 13年11月3日放送



「文具の日」ALLEX

11月3日、文化の日で文具の日。
「ALLEX」という事務用ハサミがある。
イタリアのブランドのようだが、違う。
日本の代表的な刃物産地、岐阜県で昭和21年に創業した
林刃物のブランドである。
高度成長期、事務用ハサミは
鋳物、型に金属を流し込んでつくられた
安価なものが主流だった。
林刃物は、品質の保証ができて、
適切な価格で提供できるものをつくりたいと考えていた。
中小企業のチャレンジが生んだブランドだ。

 ALLEX(エーエルエルイーエックス)。
 ALL EXPAND(オールエクスパンド)
 すべてにおいて発展していく、の意味を込めた造語だ。

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大友美有紀 13年11月3日放送


malkovitch
「文具の日」ホッチキス

11月3日、文具の日。
英語圏でホッチキス、と言っても通じない。
ステープラー、と言わねばならない。
それは、なぜか。
明治36年、日本で最初に販売されたアメリカ製の製品の
ボディに大きく「ホッチキスNo.1」と刻印されていたからだ。
それは E.H.ホッチキス社製だった。

 機関銃の発明者である
 ベンジャミン・B・ホッチキスが
 発明したという説がある。
 マシンガンの弾送り機構にヒントを得て
 針送り装置が考案されたという。

人名がモノの名前になる。
発明者の特権でもあるようだ。

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大友美有紀 13年11月3日放送


bluiewe
「文具の日」フリクション

11月3日は文化の日で、文具の日。
世界で4億本売れているボールペンがある。
消せるボールペン、フリクションボールだ。
この商品化には、実に30年以上かかっている。

開発のきっかけはある研究者が、
外回りをしていた時だった。
紅葉は一晩で、緑から真っ赤に染まる。
その劇的な自然の色の変化をビーカーの中で
再現してみたい。
その思いが実現した「温度変化によって色が変わるインキ」は、
1975年には基本技術が完成していた。

当初は文房具には向かないと言われ、
玩具やグラスなどの雑貨に使われていた。

開発担当の千賀邦行には夢があった。

 私たちの本業は筆記具メーカー。
 いつか必ず「消せる筆記具」を開発する。
 本業で成功したいと思っていました。

千賀の研究室は不夜城と言われていた。
そして2005年、消せるボールペンが誕生したのだ。

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