道山智之 13年12月1日放送
新美南吉 ~春の電車~
作家、新美南吉。
彼はたくさんの詩を残している。
わが村を通り
みなみにゆく電車は
菜種ばたけや
麦の丘をうちすぎ
そんな一節ではじまる「春の電車」。
電車はあたたかな海をのぞむ半島の先へとむかう。
そこにはいつも
わがかつて愛したりしをみなをりて
おろかに心うるはしく われを
待つならむ
かつてその街には
南吉と心を通わせた女性がいた。
結ばれることはなかったけれど、
彼の想いはすぎさりし日々に向けて、
電車に揺られつづける。
新美南吉。
今年は彼の、生誕100周年。