道山智之 13年12月1日放送


steve lorillere
新美南吉 ~ほんとうのごんぎつね~

作家、新美南吉。
29歳の若さでこの世を去った彼は、
今年、生誕100年を迎えた。

全国の教科書に採用されたことで
広く知られるようになった「ごんぎつね」。

孤独なごんぎつねが、
誤解によって、兵十(ひょうじゅう)の火縄銃に倒れるラストシーンは、
多くの子どもたちの心に焼きついた。

 「ごん、おまえだったのか。いつも栗をくれたのは。」
 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。

だが、自筆の原稿の一行は、少しちがう。

 ごんは、ぐったりなったまま、うれしくなりました。 

兵十への想いがやっと通じたうれしさが、
命を絶たれた悲しさを上回る。
つぐないの物語だと思っていた「ごんぎつね」が、
たった一行のちがいで、愛の物語へと変化する。 

「ごんぎつね」は、ほんとうはハッピーエンドなのだ。 

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