奥村広乃 13年12月15日放送
電話と不自由
ピンク・レディ『UFO』、
都はるみ『北の宿から』など
名曲の数々を手掛けた作詞家、阿久悠。
愛する人に会えない切なさ、
新しい愛に気が付いた胸のときめき、
愛を失った悲しみなど、
さまざまな愛の形を、言葉で紡いだ彼は
こんなエッセーを残している。
「若者よ、自由を欲するなら、まず電話を手放せ!
僕らは、逢って、語って、別れてから、
その次に逢うまでの時間は、完全な祈りであった。
心変わりの心配も、祈るしかない。それが恋愛であろう。
24時間電話を掛けつづけ、
完全に相手の行動を把握しようとする心に、
恋愛はたぶん芽生えない。
電話を悪役にするつもりはないが、
人間はもっと人間らしさを恋しがり、
人間を主張する必要はあるだろう。」
24時間つながれる。
この安心と便利さは、
自由を犠牲にしているのかもしれない。