2014 年 1 月 12 日 のアーカイブ

奥村広乃 14年1月12日放送


sifone
大人にならない少年

永遠に大人にならない少年、ピーターパン。
彼が、人間界の少女ウェンディと、
ネバーランドで繰り広げた冒険物語は
今も世界中の子どもたちを惹きつける。

ピーターパンの作者、
ジェームス・マシュー・バリーは
こんな言葉を残している。

 幸福の秘訣は、
 自分がやりたいことをするのではなく、
 自分がやるべきことを好きになることだ。

人はいつか成長し、大人になってしまう。
子どものままでいたかったと嘆くのではなく、
大人になった自分を好きになる。
それが、ジェームス・マシュー・バリーの考える
幸せの姿なのかもしれない。

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礒部建多 14年1月12日放送


epiclectic
大人の歌声

渋くも、
艶のある大人の歌声。
ボズ•スキャッグスのそれには、
男女問わず魅了する魔力がある。

楽曲は、クロスオーバー的で大人な旋律。
1976年に発表した「Silk Degrees」では、グラミー賞を獲得。
このアルバムがきっかけとなり、
AOR(adult oriented rock)という
新しいジャンルさえ生まれた。

以降、
TOTOやボビーコールドウェルなどの
AORの名アーティストが誕生するも、ボズは別格だった。
ブルースのようでいて、ソウルフル。
ボズの声を越えるAORアーティストは、
未だ現れていない。

来年には70歳を迎えるボズ。
年を重ねる度、その声は渋みを増し、新たな魅力を携える。
こんな大人に、なってみたい。

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澁江俊一 14年1月12日放送


e_haya
大人の目線

20年以上、一言もしゃべらずに
その表情や仕草だけで
日本中の子どもたちを虜にした大人がいる。

1934年生まれの俳優、
高見 映(たかみ えい)。
彼はその名前よりも、
181センチの長身から名づけられた
この役名のほうがよく知られている。

「のっぽさん」

1970年から1990年まで続いた
長寿番組「できるかな」の名物キャラクターだ。
その、のっぽさんが最も嫌いだったもの。
それは「子ども目線」に立つ大人。

子どもの賢さや鋭さは
幼稚なレベルだと決めつけて、
ほどほどの力で接しようとする。
そんな大人を彼は、大人の手抜きとして何よりも嫌っていた。
そしてどんな時でも、どんな子どもに対しても
ひとりの人間として本気で接した。

どうせわからないと思わず、全力で説明する。
怒ってほしい時は、しっかり怒る。

子ども目線という名の上から目線にならず
子どもをちゃんと大人扱いできる
のっぽさんのような大人が、増えますように。

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礒部建多 14年1月12日放送


Sarah.Marshall
大人の贅沢

レストランで生牡蠣の皿といっしょに
ダブルのシングル・モルトを注文し、
殻の中の牡蠣にとくとくと垂らし、そのまま口に運ぶ。

「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」という本で、
村上春樹は、シングル・モルトの聖地アイラ島で
ラフロイグや、ボウモアなどの蒸溜所を訪れ、
出来たばかりのウィスキーを、
じっくりと堪能し、こう語る。

「うまい酒は、旅をしない」

出来るだけその産地で飲まないと、
そのお酒を成立せしめている何かが、失われていくということだ。

美味い酒を求めて、世界をめぐる。
そんな大人の贅沢な旅を、いつか味わってみたい。

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澁江俊一 14年1月12日放送


ShuttrKing|KT
プラスな大人

いくつもの肩書きを持つ男、伊丹十三。
あえて一言でくくるなら「最高の大人」だろうか。

子育てをしながら、
育児とは何か徹底的に考え抜いて
育児本を出版したり、

義理の父の葬儀の日に
映画監督になる決意をし、
お葬式という映画を撮ったり、

映画の大ヒットで、
しこたま持っていかれた税金が
マルサの女のストーリーになったり。

自分の人生から目を背けない、
明るく深みのある眼差し。

俳優、エッセイスト、イラストレーター・・・
いくつもの肩書きに
強風下におけるマッチの正しい使い方評論家
を追加しようとした。
このチャーミングさが、伊丹十三なのだ。

実は俳優になりたての頃の芸名は
伊丹一三(いちぞう)だった。
マイナスをプラスにするために
漢字の一を十にして、
十三と名乗るようになったのだ。

今日を
誰よりも真剣に、
おもしろがる。

伊丹十三のような大人が、
増えますように。

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奥村広乃 14年1月12日放送


Ame Otoko
大人の階段のぼったら

デジタルカメラはたしかに便利だ。
撮った写真をその場で見たり、
世界中に送ることができる。

でも、
写真をたくさん貼った
ずっしりと重みのあるアルバムがなくなるのは
すこし寂しい。

阿木燿子が作詞した
「想い出がいっぱい」には
こんな歌詞がある。

古いアルバムの中に 隠れて
想い出が いっぱい
無邪気な笑顔の 下の
日付は 遥かなメモリー

記憶はやがて薄れるが、
記録は残る。

人生を
振り返る年齢になった日の自分のために、
アルバムを一冊
つくってみてはいかがだろうか。

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松岡康 14年1月12日放送


ジョゼ
大人にならない少年

人はいつ、大人になるんだろう。

水分を多くふくんだ優しい水彩で、
生涯子供を描きつづけた画家いわさきちひろ。
彼女は大人について、こう語った。

大人というものは
どんなに苦労が多くても、
自分のほうから人を愛していける人間に
なることなんだと思います。

なるほど。
彼女の画は、愛に満ちている。
大人にしか描けない子供の画は、
いまも多くの大人のこころを惹きつけている。

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松岡康 14年1月12日放送


Julizehn***
やなせたかし

約40年にわたり、
日本の子どもたちに
愛されつづけるアンパンマン。

自分の頭をもぎり、お腹の空いた子どもに食べさせる。
自らを犠牲にし、相手を幸せにしようとする。
初めてそれを見た大人たちの中には、
不快感をあらわにする者も少なくなかった。

この不思議なキャラクターを生んだのは、
作者やなせたかしの強い信念だった。

逆転しない正義とは献身と愛だ。
それも決して大げさなことではなく、
眼の前で餓死しそうな人がいるとすれば、
その人に一片のパンを与えること。

日中戦争に出征したやなせは、
飢えの恐怖を身をもって体験し、
献身こそ、ゆるぎない正義と知る。

戦争を知る大人として
やなせが送りつづけた、愛のメッセージ。
それが、今も子どもたちが大好きなアンパンマンなのだ。

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