2014 年 1 月 のアーカイブ

伊藤健一郎 14年1月25日放送



壊す人(映画監督:園子温)

アクション、ホラー、サスペンス、コメディー、ヒューマンドラマ。
ジャンルにとらわれず様々な映画を撮り続ける、園子温監督。

彼は、あるインタビューでこう話している。

 イメージを常に壊し続けることが重要だ。
 ピカソのように、画風をどんどん変えていく。
 実験がなかったら、やる必要がない。

そんな園監督はこのたび、お笑い芸人デビューを果たした。
どうやら、映画というジャンルにもとらわれていなかったらしい。

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伊藤健一郎 14年1月25日放送


Coyau
壊す人(映画監督:園子温)

映画監督、園子温。
大物俳優の起用が話題をよぶ日本映画界で、
園監督が起用する役者は、ほぼ無名。

予算のせいもあるだろう。
けれど、その理由について、彼は、こんな言葉を残している。

 日本には、
 シンデレラストーリーが
 少なすぎる。

『紀子の食卓』でデビューを飾った吉高由里子しかり、
『愛のむきだし』で女優のイメージを定着させた満島ひかりしかり。
園監督作品でひと皮むけた役者は多い。

彼は、知っているのだろう。
大物を起用するよりも、大物に育て上げることのほうが、
これからの映画界を、はるかに面白くできることを。

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熊埜御堂由香 14年1月19日放送


kton25
誕生にまつわる話 赤ちゃんの手のひら

生まれたての赤ちゃんには、
握った手に指をいれると握り返す
原始反射といわれる反応がある。

それを見て昔のひとは、こう言った

 赤ちゃんの握った手の中には
 幸せが詰まっている。

無意識の赤ちゃんが、
ギュッと手に力を込めるように。
生まれながらにして、人には、人を
幸福にする力が宿っている。

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熊埜御堂由香 14年1月19日放送


L’s Mommy
誕生にまつわる話 はじめてのおつかい

1976年に発売された、名作絵本
「はじめてのおつかい」。
ある日、赤ちゃんの世話に忙しい母が
5歳の女の子におつかいをたのむ。
細やかな絵とお話で、お姉ちゃんに
なった女の子の心情を描いている。

お話を書いた作家の筒井頼子さんは言う。

 物語はつくるものではなく、生まれてくるものだと思うんです。
 つくったお話は、はかなく消えてしまう気がするけど、
 生まれてきたお話は消えないように思うんです。

そう、妹や弟の誕生は、
姉や兄の誕生でもある。
今日も、新しい産声とともに、
物語が生まれる。

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石橋涼子 14年1月19日放送



誕生にまつわる話 ウィリアム・サローヤン

アメリカの作家、ウィリアム・サローヤン。

彼は貧しい移民の子として生まれ、
幼くして父を亡くし、
大恐慌時代に職を転々としながら青春期を過ごした。

恵まれた環境で育ったとは言い難い彼だが、
作品では庶民の生活を温かくユーモアたっぷりに描いた。
底抜けに明るくて、ときにセンチメンタルなストーリーは
大人からこどもまで多くの人に愛された。

彼はこんな言葉を残している。

 自分の誕生に我々は関与できないのであるから、
 生まれたということ自体、
 すでに「生きよ」という運命の結末なのである。

サローヤンは、
人が生まれや育ちを選べないことをよく知っていた。
「どう生きるか」を選べるのは自分だけ、ということも。

苦労を重ねた作家は、苦労をそのまま描かない。
ただ、人生は幸せばかりではないけれど、不幸ばかりでもない。
そんなささやかな日常を描き、
人々に明日への夢と希望を抱かせるのだ。

大きな夢ばかりが、アメリカンドリームではない。

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石橋涼子 14年1月19日放送



誕生にまつわる話 谷川俊太郎

芥川龍之介が描いた河童の世界では、
お腹の中の赤ちゃんに
この世に生まれたいかを問いかけ、選ばせる。

私たち人間はもちろん選べない。けれど
自分なりの答えを考えることができる。

10歳のこどもの質問
「人は、なにをしに生まれてくるのですか?」
に、詩人の谷川俊太郎さんはこう答えた。

 人は何かをしに生まれてくるわけではありません。

 生きているのが楽しくて

 幸せだと思えるように生きる、

 そのために生まれて、生きているんです。


さて、あなたの答えはどのようなものでしょう。

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小野麻利江 14年1月19日放送


ゆずか
誕生にまつわる話 大人の誕生

何歳の誕生日をすぎたあたりから、自分は大人になったんだろう。

もう子どもじゃない。もう大人なんだ。
そうはっきりと自覚した「あのとき」は、いつなんだろう。

詩人の長田弘は『深呼吸の必要』という詩集の中で、
その瞬間を、鮮やかに切り取ってみせる。

それはたとえば、自分についての全部のことを、
自分で決めなくてはならなくなったとき。

それはたとえば、歩くことの楽しさを無くしてしまったとき。

それはたとえば、ある日ふと、誰からも、
「遠くへ行ってはいけないよ」と言われなくなったとき。

それはたとえば、これ以上自分が大きくなれないんだと知ったとき。

それはたとえば、自分の人生で、
「こころが痛い」としか言えない痛みを、はじめて知ったとき。

九章からなる散文詩「あのときかもしれない」が見せてくれるのは
とりとめもないこととして片付けられるような、
でも、誰しもが通っている、火花のような瞬間の再体験。

子どもを大人にするのは、大人ではない。
子どもの中から、大人が生まれる。

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薄 景子 14年1月19日放送



誕生にまつわる話 宇宙カレンダー

アメリカの天文学者、カール・セーガンは
宇宙137億年の歴史を1年に圧縮した、
「宇宙カレンダー」なるものをつくった。

数字には諸説あるが、
宇宙の誕生を1月1日、
現在を12月31日と設定すると、
人類の誕生は12月31日20時48分、
キリストの誕生は12月31日23時59分56秒。

人生80年という時間は、わずか0.1秒だという。

きょうという日は、まさに一瞬の奇跡。
さて、どう過ごそうか。

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茂木彩海 14年1月19日放送


しで
誕生にまつわる話 幸田文の種

 心の中にはもの種がぎっしりと詰っていると、
 私は思っているのである。
 ものの種が芽に起き上がる時のちからは、
 土を押し破るほど強い。

幸田文、「崩れ」の一節。

40代で「種」を見つけた彼女は、
父の露伴を看取ったのち、文壇デビューを果たす。

種から発芽し、土を押し上げる誕生の瞬間に、
人は新しい自分を見る。

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茂木彩海 14年1月19日放送


poi beltran
誕生にまつわる話 ピクサー

1986年、スティーブ・ジョブスによって設立されたピクサー。

コンピューターで人間性のある動きを再現できるはずがない。
当時はその可能性に懐疑的なアニメーターがほとんどだった。

ところがその後、「トイ・ストーリー」の発表で世間は肝を抜かれる。

スティーブ・ジョブスという革命児と
ストーリー作りの天才、ジョン・ラセターの力で、
ピクサーは見事にコンピューターをアーティストの鉛筆にすげかえてみせた。

アカデミー賞を4度受賞し、「ウォレスとグルミット」に代表される
クレイアニメーションの第一人者、ニック・パークこう語る。

 ピクサーの映画は
 アートとテクノロジーの幸福な結婚から生まれた子供なんだ。

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