澁江俊一 14年2月9日放送
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東京の愛し方
東京は、
どんなふうに愛しても許される街。
日本を代表する写真家、荒木経惟。
花や人妻ヌードと並んで、
彼が永年撮りつづけるのが東京の風景だ。
1984年発行の、
特に愛されている写真集がある。
「東京は、秋」。
数年後に亡くなる最愛の妻、陽子と
東京を散歩するように撮った一冊だ。
妻:建物の裏側を撮るのが好きでしょ?
夫:裏側ってのはね、ディテールとか、染みとかがある。
裏へ行くまで気づかなかったとか、そういうのがある。
東京の裏側っていうか、それが見える。
どの写真にも
妻、陽子との何気ない会話がつけられている。
昔と今が混ざり合い、急激に変わり続ける街を、
愛する人と歩きながら、いつくしむように、
荒木はシャッターを押した。
いつかは別れる大切な人と、
こんなふうに歩いてみたくなる。
それが、東京。