高田麦 14年2月15日放送



料理する人 森茉莉

真のお嬢様、森茉莉。
16歳まで父の膝の上で育ち、
お嫁に行っても
召使いにごはんを口元まで運ばせた。
 
中年になり貧乏になったときも、
彼女は決して「贅沢」を忘れなかった。
 
食にまつわる彼女のエッセイには、
こんな描写がある。

 マヨネエズの壜を出し、
 鎌倉ハムを出し、
 牛酪(バタ)を出し、

 片兎で卵(かたうでたまご)を出し、
 薔薇色がかった朱色の玲瑯珠(れいろうたま)の如きトマト

 (les tomates vermeilles)を二つ出し…

ただのサンドイッチだというのに、
こだわりが感じられ、実においしそう。
 
彼女にとって
料理をおいしくする一番のスパイスは、
高級な食材でも調味料でもなく、
「贅沢な精神」だった。

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