佐藤延夫 14年3月1日放送



ゴーストの役割 ディック・フランシス

イギリスの小説家、ディック・フランシス。
競馬のジョッキーを引退したあと、新聞記者を経て文壇デビューを果たした。
ジャンルは、競馬ミステリー。
40冊以上の本を世に出し、日本にも根強いファンが多い。

しかし、最愛の妻メアリーを亡くしたときの
彼の告白が世間を驚かせた。

「作品を書かせてくれたのは妻だった。
 もう、手紙などのほかには何も書かないだろう。
 私の作品のほとんどは、彼女との仕事だった」

執筆の際に多大なる協力をしたメアリー夫人は、
著者のひとりとして本に名前が載ることを頑に拒んだという。
もちろん、この事実が明らかにされても、
ディック・フランシスの人気が衰えることはなかった。

美談になるか、後ろ指をさされるか。
それは、本人たちの心掛け次第なのかもしれない。

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