受験生のための言葉
ああ、試験はいやだ。
人間の価値が、わずか一時間や二時間の試験で、
どしどし決定せられるというのは、恐ろしい事だ。
それは、神を犯す事だ。
試験官は、みんな地獄へ行くだろう。
太宰治の小説「正義と微笑(せいぎとびしょう)」の
主人公「僕」の言葉だ。
彼が慕う若き教師、黒田先生はこう語った。
日常の生活に
直接役に立たないような勉強こそ、
将来、君たちの人格を完成させるのだ。
何も自分の知識を誇る必要はない。
勉強して、それから、
けろりと忘れてもいいんだ。
覚えるということが大事なのではなくて、
大事なのは、カルチベートされるということなんだ。
カルチュアというのは、
公式や単語をたくさん暗記している事でなくて、
心を広く持つという事なんだ。
つまり、愛するという事を知る事だ。
迷いながら生きる16歳の主人公の心に
深く届いたこの言葉。
今日もがんばる受験生にも
届きますように。