佐藤延夫 14年4月5日放送
苦節時代 小林一三(いちぞう)
大学を卒業したら新聞社に入り、小説家になる。
それが、ある男の夢だった。
しかしその願いは叶わず、銀行に就職する。
やる気も足らず、遊びだけを覚えて十数年。
同僚に誘われた会社設立の話も立ち消えとなり
妻子を抱え、路頭に迷うことになる。
そんなときに出会ったのが、
箕面有馬電気軌道(みのおありまでんききどう)という会社だった。
ここで初めて、男のアイデアが花開いていく。
人々が何を求めて喜ぶか。
その原則は、不遇の時代に見つけていたようだ。
彼の名は、小林一三。
のちの阪急電鉄の創業者である。