「長新太」ペンネーム
絵本画家、イラストレータ、漫画家。
多彩な肩書きを持つ、ナンセンスの作家。
長新太。
最初の仕事は、映画の看板描き。
22歳の時、「東京日日新聞」の懸賞漫画に応募。
「ロング狂」という作品が当選する。
ロングスカートがテーマの作品で、
「ロング」で「長」、新人だから「新」、
太くたくましくいきなさいと「太」。
当時のデスクが命名したペンネームだった。
以来77歳で亡くなるまで、長新太として
絵を描き続けた。
「長新太」ペンネーム
絵本画家、イラストレータ、漫画家。
多彩な肩書きを持つ、ナンセンスの作家。
長新太。
最初の仕事は、映画の看板描き。
22歳の時、「東京日日新聞」の懸賞漫画に応募。
「ロング狂」という作品が当選する。
ロングスカートがテーマの作品で、
「ロング」で「長」、新人だから「新」、
太くたくましくいきなさいと「太」。
当時のデスクが命名したペンネームだった。
以来77歳で亡くなるまで、長新太として
絵を描き続けた。
「長新太」安い絵本
絵本作家、長新太。
生涯で手がけた子どもの本は400冊を越える。
信じられないほどの多作。
73年のエッセイで、安い絵本をつくりたいと言っている。
絵が良くて、高価な絵本もいいと思うけれど、
わたしは少し印刷が悪くても、
というより、たくさんのインクを使用しなくて、
二色ぐらいでも、それから少しぐらい紙がわるくとも、
安い絵本がもっとつくれないかな、と思っているのです。
本屋さんの前のクルクル廻るケースに入っている、
いわゆる「百円絵本」によいものが出てきてほしいのです。
そうして百円絵本が子どもたちに広く読まれることをねがう。
絵本は百円ぐらいで買えなくてはいけない、と思うのです。
多作の影には、こんなねがいが隠れていたのかもしれない。
Norihiro Kataoka
「長新太」ナンセンス
ナンセンスの絵本作家、長新太。
彼の絵本を見て、なんで子どもが喜ぶのかわからない、
という母親がいっぱいいるという。
たまに自宅にまで電話がかかってきて、
「動物の色が普通と違う」と言われることもあった。
彼は、絵本はお母さん方にわからなければいけない、という。
子どもの本は、お母さん経由で子どもに届くことが多いからだ。
ぼくの本がわからない、というお母さん方が、
こわいわけよ。
それは、ぼくの絵本が子どもに届かないことになるし、
もっと言うと、ナンセンスとかユーモアを、
おとながわかりにくくて、子どもに届けない、
ということになる。
ところがほんとうは子どもの方がすぐわかっちゃうわけ。
長新太のナンセンスは日常的なものではなく、
抽象であって、シュールレアリズム的なナンセンスだ。
理解するのではなく、楽しむものである。
「長新太」生理的にここちよい
絵本作家、長新太の「アブアアとアブブブ」という本。
アブの兄弟が、巻いてある紙をパッと誰かの顔の前にたらす。
アブたちはこれをやると気持ちがスーッとする。
生理的に心地よいということが、
なににおいてもいちばん大切じゃないか
という気持ちが、ぼくは非常に強いわけよ。
それによって、いろいろなことがことが
決まるんじゃないかと思うんです。
色彩やフォルムも、意識してつくり出すというよりは、
川の流れみたいに自然にそうなってくる、
ひとりでにそうなってくるものこそ大事にしたいと考えていた。
ちなみに、アブアアがおとうとで、アブブブがおにいさん。
izamu
「長新太」アニミズム
ナンセンスの絵本作家、長新太。
ある講演会で、生まれ変わったら何になりたいか、という質問に、
イカやタコが好きだから、イカやタコになりたいね、と答えた。
それは冗談でなく、本気に近い気持ち。
幼い子が「大きくなったら新幹線になりたい」という気持ちと同じようなもの。
長新太の発想は、自然界のすべてのものに霊魂や精霊が宿るという
「アニミズム」のようなものだ。
大げさにいうと、机も椅子もコップにしてもフォークにしても
すべて命があるという感覚があって、
別に人間だけがいきてるんじゃない、という感じが
ぼくは非常に強いです。
人間の内蔵だって自分でコントロールできない。
みんなそれぞれ生きていて、自我意識があると思っている。
彼の本には、お尻だけ「ポコリ」とはずれて外出してしまったり、
心臓がとんでってテレビ局に行ってしまったり、
下半身だけが先に歩き出してしまうお話もある。
長新太を本当に理解できるのは、子どもだけかもしれない。
「長新太」ちへいせんのみえるところ
ナンセンスの絵本作家、長新太は、
だだっ広いところが好きだった。
彼の作品には地平線、水平線が多い。
紙がある。
刷毛でうすいクリーム色の下地をつくる。
そして、横に一本線を引く。
漫画のコマ割りの線を描く。
そして、コマに横線を一本引く。
絵本「ちへいせんのみえるところ」は、
全ページ、同じ位置に地平線が描かれている。
けれども全部の絵が別の絵だ。
ページをめくると、同じようで微妙に違う地平線。
そこに男の子が出てきたり、ゾウが出てきたり、船が出てきたり。
言葉は、「でました」だけ。
何が出てくるか、ページをめくるたびにドキドキする。
読む人のドキドキを思い浮かべて、
長新太はニヤニヤしていたかもしれない。
「長新太」絵本の作り方
絵本作家、長新太のイラストエッセイ、
「絵本のつくりかた」お料理風に
材料は、
青空たっぷり
渡り鳥、少々
そよ風、ひと吹き
地平線または水平線、一本
麦畑、たっぷり
少年、一人
湖、一ケ
魚(マス)一匹
ゾウアザラシ(オス)一頭
以上にナンセンス印のエスプリ少々
全体の味つけは、甘からず辛からず
これがコツ
「長新太」仕事の理想
ナンセンスの絵本作家、長新太。
仕事の理想は、と問われると。
永久に未完成ということ。
人々はすぐに完成されたものを
性急に追求しがちだが、
それは僕の信念に反する。
少しばかり不安定でも、
その作家の香り、あるいは匂い、
つまりエスプリみたいなものが、
みるものに共感をおぼえさせれば、
それで結構と思っている。
享年77歳。
遺作となった絵本「ころころにゃーん」は、
ピンク一色で描かれていた。
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