飯國なつき 14年4月19日放送
先駆者たち④ レジナルド・フェッセンデン
いま、あなたが聞いているラジオ放送。
その発祥をご存知だろうか。
約100年前のクリスマス・イブ。
大西洋を航行していたある貨物船の乗組員たちは
その日の果物相場をモールス信号で聞いていた。
ところが、その最中に
無線機はいきなり音楽をキャッチした。
モールス信号ではない、本物の蓄音機から流れる曲だった。
つづいてバイオリンの生演奏、さらに歌声まで。
その声の主こそ
カナダの発明家レジナルド・フェッセンデン。
世界で初めて音声信号の無線通信、
つまりラジオ放送に成功したといわれる人物だった。
しかし、当時、彼の起こした奇跡は、
ほとんど話題にならず、忘れ去られてしまう。
当時、ラジオの受信機など誰も持っておらず
せっかく電波を発信しても聴くことができるのは
大西洋沿岸を行く船の無線技士だけだったからだ。
今この瞬間に起きているかもしれない小さな奇跡がある。
私たちのアンテナは、それをキャッチできるだろうか。