道山智之 14年4月26日放送
KTR
紀貫之①
平安時代の歌人、紀貫之。
貴族としての地位には恵まれなかった天才歌人は、
こんな春の歌をのこした。
袖ひちてむすびし水のこほれるを
春立つけふの風やとくらむ
夏の日、袖をぬらしてすくった水が
冬には凍ってしまった
その氷を、春になった今日のあたたかな風がとかすだろうか
一年間の風景を、つかのまの映像として見せる。
時間の流れをかるがると超える現代的な表現は、
こんな心象風景にも聞こえてくる。
「一度は凍りついてしまったのびやかな気持ちは、
きっとまた戻ってくるさ」