大友美有紀 14年5月4日放送
Thomas Hawk
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」 クリント・イーストウッド
アクターズ・スタジオ・インタビューに来るゲストたちは、
クリント・イーストウッドのテイクの始め方と終わり方をよく話題にしていた。
彼は「アクション」とも「カット」とも言わない。
クリントは、それは「ローハイド」からはじまったことだという。
馬に乗っている男たちが4人。隣り合って並ばなければいけない。
クローズアップで撮るのは難しいショットだ。
先端にマイクをつけた棒がビュンビュンふられる。
馬はこれが嫌いだ、イライラし出している。
やっと4頭の馬がワンショットに入りそうになったその瞬間、
男がメガホンの大音声で叫ぶ「アクション!」。
馬はてんでに好きな方向に駆け出した。
どうだろ、アクションって怒鳴らないでやってみては?
何か他のことを言ったらって僕は言ったんだ。
でもどうしてもそうはやってもらえなかった。
俳優は馬じゃない。だけど彼らにだって中枢の神経系統はあるんだ。
しかも、みんな撮るシーンについて懸念を抱いて待ってる。
それなのに「アクション」と叫ぶとアドレナリンの量は上がる。
血圧は上がるで、最高の状態ではない。
だから、僕はただ「オーケー、いつでもどうぞ、行こう」って言い、
終わると「ストップ、ありがとう」とか
「くだらんやつはそこまで」とか
言うんだ。
彼の映画が多くのアカデミー賞を産む理由がここにあるのかもしれない。