Psicoloco
旅する人① 玄奘
唐の時代、玄奘という僧侶がいた。
「仏教について、一番詳しい人に話を聞きに行こう」。
そんな理由で、聖地インドをめざして旅に出た、
豪胆な人物である。
国禁を犯して出国し、ある時は灼熱の砂漠を越え、
ある時は雪と氷にとざされた山脈を越えた。
その旅の壮絶さは想像に難くない。
そして16年後、玄奘は膨大な数の経典をインドから持ち帰り、
終生を翻訳の作業に費やした。
玄奘が人生を賭したこの旅は、
「西遊記」の物語の元になったといわれている。
Psicoloco
旅する人① 玄奘
唐の時代、玄奘という僧侶がいた。
「仏教について、一番詳しい人に話を聞きに行こう」。
そんな理由で、聖地インドをめざして旅に出た、
豪胆な人物である。
国禁を犯して出国し、ある時は灼熱の砂漠を越え、
ある時は雪と氷にとざされた山脈を越えた。
その旅の壮絶さは想像に難くない。
そして16年後、玄奘は膨大な数の経典をインドから持ち帰り、
終生を翻訳の作業に費やした。
玄奘が人生を賭したこの旅は、
「西遊記」の物語の元になったといわれている。
Eric_Dorsey
旅する人② 平田オリザ
劇作家平田オリザは16歳の時、世界一周の自転車旅行に出た。
「なぜ旅に出るのか?」と大人から尋ねられるたびに、
彼はこう答えた。
何故、理由なく旅に出てはいけないのですか?
大義名分を求める大人たちを嗤うかのように、
16歳の平田オリザは飄々と疑問を投げ返した。
平田のその精神は遍歴の旅人ドン・キホーテの物語から
借用したという旅行記のタイトルにも表れている。
『十六歳のオリザの未だかつて
ためしのない勇気が到達した最後の点と、
到達しえた極限とを明らかにして、
上々の首尾にいたった世界一周
自転車旅行の冒険をしるす本』
旅する人③ ジョン・スタインベック
作家ジョン・スタインベックは58歳の時、
愛犬のチャーリーと共に旅に出た。
自分は祖国の実情を何も知らないのではないか。
そう思った末の、半ば衝動的な旅だった。
自らクルマを運転し、4カ月かけてアメリカ合衆国を一周。
その一部始終を『チャーリーとの旅』という旅行記にまとめた。
本の冒頭、スタインベックはこう記した。
子どもの時、どこかへ出かけたくなると、
大人になれば落ち着くと言われた。
大人と呼ばれる年齢になった時
中年になれば落ち着くと言われた。
今58歳だが、病は一向に治らない。
abrinsky
旅する人④ 辺見庸
ルポ・ライターの辺見庸は、
ある日世界各国を食べ歩く旅に出た。
バングラデシュでは、屋台で売られている、
すえた臭いの残飯を食べた。
タイでは、缶詰工場で働く人々の質素な食事を食べた。
ソマリアでは、難民キャンプの発酵したクレープを食べた。
食べ物は、その国の文化や経済状況を如実に映し出す。
しかし辺見は、痛烈な社会批判をすることなく、
リアルな食の現場を、淡々とあぶり出していった。
辺見は語る。
奇食に見えて、しかし奇食など世界には一つとしてない。
行く先々にもの食う人びとがいて、
いまそれを食うことの十二分な理由と、
食うことと食えないことにかかわる
知られざるドラマを持っていた。
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