飯國なつき 14年5月10日放送
abrinsky
旅する人④ 辺見庸
ルポ・ライターの辺見庸は、
ある日世界各国を食べ歩く旅に出た。
バングラデシュでは、屋台で売られている、
すえた臭いの残飯を食べた。
タイでは、缶詰工場で働く人々の質素な食事を食べた。
ソマリアでは、難民キャンプの発酵したクレープを食べた。
食べ物は、その国の文化や経済状況を如実に映し出す。
しかし辺見は、痛烈な社会批判をすることなく、
リアルな食の現場を、淡々とあぶり出していった。
辺見は語る。
奇食に見えて、しかし奇食など世界には一つとしてない。
行く先々にもの食う人びとがいて、
いまそれを食うことの十二分な理由と、
食うことと食えないことにかかわる
知られざるドラマを持っていた。