道山智之 14年5月17日放送
中村八大3
作曲家、中村八大。
1959年の初夏、彼は映画につかう歌を8曲、
翌日までに書き上げる仕事を頼まれた。
ジャズピアニストだった彼は、
コンビを組む作詞家のあてもなく、有楽町の日劇の前の交差点を渡る。
そのとき偶然、通りのむこうから
歩いてきたのは、顔見知りの永六輔だった。
すぐに八大は、作詞の経験がなかった六輔を口説き、
自分の部屋につれていき徹夜で8曲を作り上げた。
それは、
2年後に「上を向いて歩こう」を世に送り出す「六八コンビ」が誕生した瞬間だった。
歩いてさえいれば、運命はむこうからやってくることがある。