佐藤理人 14年5月24日放送

140524-04
TANAKA Juuyoh
レンジの流儀④「弔辞」

 原田芳雄に向かって自分が弔辞を言う、
 こんな馬鹿げた悪ふざけはあるだろうか。

本当に悲しい時、
人は映画みたく泣いたりしない。

原田芳雄の葬儀で石橋蓮司は怒った。

 芳雄の業績なんか称えたくないし
 人に伝えなくていい。
 ただただ、オマエが今
 ここにいてくれればいい。

 ほらみろ、
 破綻してしまったじゃないか。
 おまえが悪い。

悲しみと悔しさで千々に乱れた心で
冷静に弔辞の準備なんかできやしない。
だから彼は言った。

 これは映画の一場面として、
 アドリブで何か喋ってみる。

最後に共演した映画のこと。
これから二人でやりたかったこと。
たった一人の観客に向かって、
彼は思いの丈をぶちまけた。

親友を超えた戦友を失って悲しむ
ひとりの男の素顔がそこにあった。

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