茂木彩海 14年6月8日放送
家のはなし 坂口恭平の家
図面も引けなければ、ろくな家を建てたこともない。
建築家、坂口恭平。
早稲田大学理工学部で建築家を志し、勉強に励む一方で
土地を買って所有し、莫大な金額を払って家を建てる
という日本の建築システムに疑問を感じていた。
そんな折、隅田川の河川敷で
鈴木さんという路上生活者との出会いを果たす。
鈴木さんの家をのぞかせてもらうと
ざっと3畳はありそうな部屋に
車のバッテリーを改造して電気を通し、
拾ってきた冷蔵庫や洗濯機を動かしている。
そこには大都会、東京の中で、確かに自分の手で建てた家が存在していた。
坂口は言う。
エコノミクスの語源は、「住まい」という意味の「オイコス」
と「あり方」という意味の「ノモス」である。
つまり、僕たちは経済をどうしていくか考えるときには必ず
家とはなにかを考えなくてはならない。
現代社会で考える、効率的な家とは何か。
坂口が考えたのは、予算3万円の移動できる家、モバイルハウス。
家づくりの常識を変えた男はいま、
生き方の常識も同時に変えようとしている。