古居利康 14年7月19日放送
[bastian.]
ヘムレンさんのはなし ④
ムーミントロールのおはなしにでてくる
ヘムレンさん。
遊園地が洪水で流されて、
切符係の仕事をなくしたヘムレンさんは、
ヘムル族のおばあさんが残してくれた公園に移り住む。
長いあいだ、だれも訪れることのなかった公園は、
草や花や樹木が生いしげり、荒れはてていた。
けれど、そこにはヘムレンさんの好きな沈黙があった。
ある日、こどもたちがやってきて、
洪水で流された遊具をあつめてきました、
ここに新しい遊園地をつくってください、と頼みこむ。
さいしょはしぶしぶ遊具をなおしたり、
組み立てたりしていたヘムレンさん。
この新しい仕事がだんだん好きになっていく。
新しい遊園地ができあがって、こどもたちが
あつまってきた。うれしそうに遊んでいる。
でも、ようすが変だ。音をたてずにそーっと遊んでいる。
静かなのが好きなヘムレンさんの遊園地だから。
ヘムレンさんは、こう思う。
「あすはみんなにいうとしよう。きみたち、
わらってもいいし、気がむいたらすこしは
歌をうたってもいいよって。
だけど、それ以上はだめだな、ぜったいに」