高田麦 14年8月24日放送
mueredecine
アキ・カウリスマキがつくる夢
アキ・カウリスマキは、
社会では陽の当らないひとたちにスポットライトを当てる。
彼の映画を最初に見ると、誰もが面喰うだろう。
登場人物はみな無表情、
極限までそぎ落とされた台詞、
独特の間。
主人公はだいたい徹底的に不幸な目に遭う。
だけれど、そこかしこにただようユーモア。
弱者を弱者としてそのまま認めることが、救いになる。
作り手であるカウリスマキの、圧倒的にやさしいまなざし。
一貫して弱者を題材にする彼はこう言う。
「映画とは、一日一生懸命働いた人がその日の終わりにリラックスし、
楽しむために観るエンターテインメントだ」
彼の映画は、労働者の労働者による労働者のための、
つかの間の夢なのである。