飯國なつき 14年9月14日放送

140914-02
Morio
夜空を見る人②恩田陸

「夜のピクニック」という小説がある。
舞台となるのは“歩行祭”。作者の恩田陸が実際に体験した、
夜通し80キロ歩き続けるという学校行事だ。

歩き続けるうちにまわりはだんだん暗くなる。
隣を歩く友だちの顔が見えなくなるにつれて、
絡み合った人間関係が徐々に浮かび上がってくる。

 みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。

 どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろう。

登場人物の一人が、ぽつりと、そう漏らす。

話せなかったことが話せるようになる。
そんな不思議な空間を、夜空は演出してくれるのだ。

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