森由里佳 14年9月14日放送
夜空を見る人⑤星を選んだゴッホ「星月夜」
夜空に魅せられた画家、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの作品、
「星月夜」。
夜空にうずをまくように描かれた大きな星ぼしと、
それを突き刺すかのようにそびえる糸杉の大樹。
ゴッホ晩年の傑作である。
とある手記の中でゴッホはこう述べている。
夜空の星は、町や村を表す、地図の上の点のようだ。
地図の上の点にはたどりつけるのに、
なぜ、夜空に輝く点には、たどりつけないのだろう。
僕らが星へと到達できるのは、死によってだけなのだ。
「星月夜」を描いた約1年後、ゴッホは自らの命を断つ。
彼は死を選んだのだろうか。
いや、星へ行くことを選んだにちがいない。