道山智之 14年10月26日放送
濱田廣介 8
童話「泣いた赤おに」の作者、
濱田廣介(はまだひろすけ)。
山形県東置賜(おきたま)郡高畠町の生まれ。
今も稲穂のなかに、古墳を思わせる小さな山が点在する
美しい田園の町。
彼が子どものころまでは、
道ばたに腰をおろせる「休み石」というものがあったそうだ。
彼の母校・屋代(やしろ)小学校の庭に、彼の詩を刻んだ記念碑がある。
道ばたの石はいい
いつも青空の下にかがみ
夜は星の花をながめ
雨にぬれても風でかわく
それにだいいち
だれでも腰をかけてゆく
今では道路も広がり、
邪魔物としてとりのぞかれた「休み石」。
廣介はこう記している。
もちろん、それでよいのであるが、
「休み石」にこめられた人間相互の思いやり―
人情までもかなぐり捨ててはならないこと、
これも、もちろんなのである。