大友美有紀 14年11月2日放送
「フェルメール」絵画修復家・岩井希久子(いわいきくこ)
絵画修復の技術は、年々、進歩している。
かつては、修復したらニスをかけるのが常識となっていた。
しかしニスをかけると質感が変わってしまい、
色の重なりが見えなくなる。
絵画修復家・岩井希久子は、
いい修復は作家本来の表現を変えないことだという。
フェルメールの「手紙を読む青衣の女」は、
黄変したニスを取り除き、
欠損していたところに目立たない補彩を行っただけの控えめな修復。
みごとなラピスラズリが浮かび上がり、
画家が表現したブルーが甦った。
修復を手がけた、アムステルダム国立美術館の
イへ・フェルスライプさんは、
すごく穏やかで謙虚な方。
だからこのような控えめないい修復ができたと思う。
「手紙を読む青衣の女」は2011年から12年にかけて
日本国内を巡回した。
展覧会では修復方法の説明パネルを掲出していたが、
塗り直したのですか?と会場で聞かれた。
「修復」についての認知が足りないと、岩井は痛感した。