道山智之 14年11月8日放送
チャイコフスキー 2
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー。
結婚に失敗し、
精神的に追い詰められていた彼をささえたのは、
大富豪の女性、フォン・メックだった。
9歳年上のフォン・メック夫人は、
決して会わないことを約束に、
チャイコフスキーを経済的に援助。
14年にもわたって文通をつづけた。
チャイコフスキーは支援のおかげで
ヨーロッパ中をさすらいながら、
「弦楽セレナーデ」や「眠れる森の美女」など
珠玉の作品を書き上げた。
決して会わないと誓った純潔と、おさえきれない友情。
言葉にできないその想いが、
名曲として結晶したのかもしれない。
チャイコフスキーは、婦人あての手紙に書いている。
「ハイネの指摘どおり、
言葉の終わるところから、
音楽ははじまるのです。」