蛭田瑞穂 14年11月9日放送
お風呂⑧ 川端康成
私は高等学校の寮生活が、
一、二年の間はひどく嫌だつた。(中略)
私の幼年時代が残した精神の疾患ばかりが気になつて、
自分を憐れむ念と自分を厭ふ念とに堪へられなかつた。
それで伊豆へ行つた。
旧制一高の学生だった川端康成は精神の静養のため伊豆へ旅に出る。
旅の途中、湯ヶ島温泉での旅の踊子との出会いが、
後に小説『伊豆の踊子』誕生のきっかけとなるのは有名な話だ。
心が晴れない時は、温泉に行ってみよう。
日常とはちがう世界がそこにはある。