「モネ」絵画修復家・岩井希久子(いわいきくこ)
絵画修復家・岩井は、展覧会の際、
海外からやってくる絵の状態をチェックする、
という仕事も担当する。
バブル期に世界中から集まってくる絵をたくさん見る中で、
状態の悪い絵が多いことに心を痛めた。
絵は酸化によって劣化する。
そして思いついたのが「低酸素密閉」。
お菓子の袋に入っている脱酸素材がヒントになった。
地中美術館に展示されているモネの「睡蓮」は、
作画当時のままのピュアな状態で残っている貴重な作品。
「低酸素密閉」のアイデアをもとにした隔離密閉を行っている。
私は、いかに保存していくかが最も重要だと考えています。
状態が悪くなったら、修復してそれで終わり、
というのではなくて、病気にならないほうがいいに決まっています。
地中美術館の「睡蓮」は、
モネが描いたままの絵の具の質感とつや、
絵の具の突起がそのまま残っていた。
ニスもかかっていない。
この絵が病気にならないように、保存は続いている。