礒部建多 14年12月14日放送
南極への放送
「南極観測船「ふじ」の乗組員と、
南極観測員だけに向けた番組を作りたい。」
昭和40年、当時のNSB日本短波放送のプロデューサー
野尻鷹雄は、こんな企画を上層部に提案した。
12月1日に出港する「ふじ」に乗り込む人数は223人。
公共放送として彼らだけに向けた番組を放送するなど、
前代未聞であり、社内から反対の意見もあった。
しかし、野尻の想いは強かった。
日本国民の声援という精神的支えが、
彼らにとって何よりの清涼剤としての役割を果たすはずである。
様々な苦労を乗り越えて、
「お元気ですか ふじの皆さん」という掛け声で番組はスタート。
気象情報や音楽のほかに、
遠い地で活躍する223人の家族からのメッセージも届けられた。
その放送は観測員だけでなく、
それを聞く日本国民までをも温かい気持ちにした。