奥村広乃 14年12月14日放送
オーロラキッチン
南極料理人
栄養を摂るだけの食事なら、
サプリメントや点滴でいい。
それでも、人が食事をつくり、
食卓を囲むのはなぜだろう。
2009年に公開された映画『南極料理人』。
その原作者、西村淳。
彼は調理担当として、南極地域観測隊に参加していた。
見渡す限りの氷の大地。
夏でも気温がゼロ度を超すことがほとんどない、南極。
食材も調理器具もブラリと買いにいけない。
そんな環境で1日3食、仲間の食事を作りつづけた。
西村はともに南極で冬を越した仲間から
こんな手紙をもらったそうだ。
『南極では、家族への思い、研究がうまく行かない、
仲間とのちょっとした気まずい関係など、
日本では考えられないイライラは、私を含めた隊員皆あったようです。
ところが、おいしいものを食べると幸福な気持ちになり、
明日もがんばるという気持ちになれました。
その節は本当にありがとうございました。
食事が、気分だけでなく、円滑な人間関係にも
大きく影響を与えると悟りました。』
おいしい料理は、
人の心をほぐす力がある。
だから人は料理をつくり、食卓を囲むのだろう。
仕事仲間やパートナーと、
うまく行かずに冷えきったときは
おいしい料理を一緒に食べるといいのかもしれない。