森由里佳 15年1月11日放送
よっちん
片思い④樋口一葉
恋は、美しいか?
樋口一葉は、
師である半井桃水への想いを綴った歌でこれを否定する。
みぐるしく、にくく、うくつらく、浅ましく、
かなしく、さびしく、恨めしき、厭う恋こそ、恋の奥なりけれ
見苦しく、悲しい「厭う恋」こそが、恋である。
まだまだ女性に対して閉鎖的だった時代に、
女性作家の文壇への道をひらいた一葉。
しかし、半井桃水への想いが通じることは、ついぞなかった。
「厭う恋」を厭いながらもその恋を抱え、
恋にも時代にも屈せず筆を握り続けた彼女の姿は、孤高ゆえに、美しい。