松岡康 15年1月17日放送
Bujdosó Attila
焼け野原の建築
神戸市長田区にあるカトリックたかとり教会。
週末に住民が集まるホールは紙でできている。
阪神大震災で、教会はほぼ焼け落ちた。
焼け跡で青空ミサが開かれた日曜の朝、
建築家を名乗る男が、
「紙で教会を建てないか」と持ちかけた。
火事が頻繁に起きていた街に
紙で建てるなんてと神父は断った。
次の日曜も、その次の日曜も、
男は紙の建築の強さと施工の簡単さを説明した。
彼の名は坂茂(ばんしげる)。
その熱意に
「教会ではなく、住民が集まれるホールなら」と、
神父は承諾した。
高さ5mの紙でできた紙管58本を
長円形に配したホールは
「ペーパードーム」の愛称で
復興のシンボルになった。
トルコ、インド、
スリランカ、中国、イタリア。
地震や津波、洪水が起きると彼は現れ、
仮設の住宅や学校、ホールの建設をする。
2014年、坂茂は
建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞。
災害に立ち向かうその姿勢が
世界に認められたのだ。