澁江俊一 15年1月17日放送
的中してしまった警告
日本の地震学に
多大な影響を与えた男、
今村明恒(いまむら あきつね)。
明治29年の三陸大地震の際、今村は
津波の原因が海底の地殻変動だと発表する。
今では当たり前の説だが、
当時は誰にも受け入れられなかった。
明治38年、今度は
東京で50年以内に大地震が起こると警告。
それが大々的に新聞に掲載されると
社会問題を引き起こしてしまう。
「ホラ吹きの今村」と中傷された彼だが
大正12年、警告どおり関東大震災が発生。
その直後、記者たちの質問に
しばらく同じ規模の地震は起こらないと断言。
それも見事に的中した。
世間は一転して今村を「地震の神様」と呼んだ。
震災当日の彼の日記には、こう書かれている。
わたしの警告は、非難され嘲られていたが、
それが現実に起きてしまう、
なんという不幸なことであろう。
自らの名誉より、
地震から人々を救うことを
今村は強く望んでいたのだった。