作家たちの副業① 「エリオット」
詩人T.S.エリオットの副業は銀行員だった。
通勤する大勢のサラリーマンを見て、
白アリの群れ
と笑い、自分の職場について
死ぬまでここにいると思うとゾッとする
と嘆いたが、
内心では定職があることに感謝していた。
文学仲間が独立資金の提供を申し入れたときも、
仕事がもたらす安定を選んだ。
1948年。定年を迎えた年に、
彼はノーベル文学賞を受賞する。
金のために書くのではない。
仕事柄、お金の価値を知り尽くしていたからこそ、
彼は決して自分を安売りしなかった。