渋谷三紀 15年5月16日放送
青にまつわることがら グランブルーの誤訳
海と潜水夫の映画「グランブルー」のラストシーン。
自分の子を身ごもる女性を置き去りにして、
海の底へと沈んでいく主人公ジャック。
ジャックに向かい、妻はいう。
Go and see my love.
[私の愛を見て来て。]
胸を打つこの台詞は、誤訳だったと言われる。
正しくは、
[いってらっしゃい、あなた。]
誤訳のほうが、ずっといい。
男のわがままを許した女の愛の大きさに、
海の底で気づきなさいと、突き放している。
母性は優しさではなく。
怒りも悲しみも諦めも抱え、
それでも許そうとする強さだと思う。