太陽① やなせたかし
ぼくらはみんな生きている
生きているから笑うんだ
やなせたかしが作詞した童謡、「手のひらを太陽に」。
この歌を作った時、やなせたかしは、
「自殺したいほどの」厭世的な気持ちに満ちていた。
漫画家を自認しながらも、仕事がうまくいかない日々。
暗いところで、冷たい手を暖めながら仕事をしていると、
ふと、自分の手のひらの赤さが電球で透けて見えた。
ぼくは(中略)
自分自身についても全く嫌気がさしていたが、
それなのになんとぼくの血はまっかで元気そうに動いているのだろう。
こんなに血が赤いのに、
ぼくはまだ死んではいけないなとその時に思った。
きっとその時、
ぎらぎらと熱い「太陽」が
やなせたかしの心の中で輝きはじめていた。