森由里佳 15年6月21日放送
dcysurfer / Dave Young
太陽⑥ 輝きを失わない
光のパイプオルガン。
雲の切れ間から太陽の光が漏れて、
光の柱のように見える光景を、
宮沢賢治はそう呼んだ。
そして、いずれ農家を継ぐため
音楽の道を諦めねばならない生徒に、
こう語りかけている。
もしも楽器がなかったら
いゝかおまへはおれの弟子なのだ
ちからのかぎり
そらいっぱいの
光でできたパイプオルガンを弾くがいゝ
この「告別」という詩は、
教師をやめて新たな一歩を踏みだす
賢治自身への言葉でもあるといわれている。
人は、逃れられない宿命の中で生きていく。
でも、絶望してはいけない。
自分の才能を捨ててはいけない。
どんな時も前を向くことが大切なのだ。
決して輝きを失わない、太陽のように。