蛭田瑞穂 15年7月19日放送
Vintage Japan-esque
こども③ 茨木のり子
茨木のり子の詩「こどもたち」。
詩の中で茨木は、小さなこどもの見るものは常に断片であるが、
青春期になると突然それまでのすべての記憶をつなぎはじめる、
とこどもたちの記憶について洞察する。
そして茨木のり子は詩をこう結ぶ。
その時に 父や母 教師や祖国などが
ウミヘビや毒草 こわれた甕 ゆがんだ顔のイメージで
ちいさくかたどられるとしたら
それはやはり哀しいことではないのか
おとなたちにとって
ゆめゆめ油断のならないのは
なによりもまず まわりを走るこどもたち
今はお菓子ばかりをねらいにかかっている
この栗鼠どもなのである