森由里佳 15年8月2日放送
夏を感じる⑥ 江戸扇子職人 松井宏
京扇子のようなきらびやかさはなく、
キリっと粋な江戸扇子。
骨が少ないからこそ生みだせる強い風に感じるのは、
美しくも頑固な職人芸だ。
平安時代には、貴族の身分をあらわすシンボルでもあった扇子。
今となっては、誰でも簡単に手に入れることができるが、
伝統を守り続けてきた男には、思うことがあった。
無形文化財技術保持者の江戸扇子職人、松井宏だ。
お宮参りに始まり、七五三、成人式、結婚式、還暦、古稀、葬式…
扇子と日本人のつながりは一生続くのです。
だから、扇子は持つ人の人格を象徴するもの。
少々値段が高くても、本物を使ってほしい。
職人魂が光る江戸扇子。
そこから生まれる風たちはきっと、
持つ人の人生も、乗せてゆく。