三島邦彦 15年8月15日放送
戦争と平和 鶴見俊輔 (つるみしゅんすけ)
2015年7月20日、
ひとりの思想家がこの世を去った。
その人の名は、鶴見俊輔。
ハーバード大学の在学中に日本とアメリカの戦争が始まり、
捕虜収容所で書いた論文で大学を卒業した。
鶴見はある日、捕虜としてアメリカに残るか、
日本に帰るかの選択を迫られ、日本への帰還を選んだ。
政治家の家系に育った鶴見には、
アメリカと日本が戦争をすると決まった時から、
日本が負けることがわかっていた。
日本は戦争に負ける。
その敗北を、アメリカで安全と食料が確保された捕虜として迎えるよりも、
日本でともに負けたいと鶴見は思った。
鶴見は、自らの生き方をこう語る。
日本の国について、その困ったところをはっきり見る。
そのことをはっきり書いてゆく。
日本の国だからすべてよいという考え方をとらない。
しかし、日本と日本人を自分の所属とすることを続ける。