広辞苑の生みの親
日本を代表する辞書、広辞苑。
その表紙に、とある人物の名がある。
新しい村を出ると書いて新村出(しんむらいづる)。
明治9年の今日、10月4日に生まれた言語学者である。
広辞苑の編纂中、太平洋戦争が勃発。
東京大空襲では数千ページ分の銅版が失われた。
ようやく迎えた戦後。日本語は劇的に変わってしまう。
言葉の変化を認めなかった出は、
広辞苑のタイトルが略字体になると聞き、
一晩、号泣したという。
苦難を乗り越え、
昭和30年、初版が発売。
出の人生を賭けた、ずっしり重い一冊だった。