茂木彩海 15年10月18日放送
jiroh
日本語のはなし 虫たちの声
秋になるとどこからともなく聞こえてくる虫の声。
10月にもなるとコオロギ、マツムシ、ツクワムシと
小さな合唱がいたるところで行われている。
西洋人は虫の声を機械音と同じように左脳でとらえるが
日本人は、右脳にある言語脳でとらえることができるように
できているという。
俳句の世界には、虫に関するこんな長い季語がある。
「藻に住む虫の音に泣く」
実際には声を持たない虫の声も日本人は聴いているのだ。
他にも、「蚯蚓(ミミズ)鳴く」「蓑虫鳴く」などがあるが、
言うまでもなくこれらの虫は声を出すことはない。
秋の夜長に虫たちの声をひとりぽつんと聞いている。
虫たちの言葉は日本語となって脳に届き、
さらには木や草のかすかなざわめきまで
命あるものの声としてとらえようとする。
日本の秋、日本人の秋は繊細で美しい。