熊埜御堂由香 15年10月18日放送
dbbent
日本語のはなし 名文を書かない文章講座
芥川賞作家、村田喜代子さん。
福岡県で、主婦をしながら小説を書き続け、
地元のカルチャーセンターでは、文章の書き方を教えてきた。
生徒は、はがき一枚にも苦労するという、
主婦だったり、リタイア後の夫婦だったり、まさに市井のひとびと。
そんなひとへ向かって村田さんはこう教える。
エッセイや手紙を書くときに、名文に憧れを抱く必要はない。
名刀を台所に持ち込んで大根を切る者はいない。
大根を切るときには、使い慣れた、よく研いだ包丁を使うもの。
そんな風に、心のこもった文章は普通の文体で書けばいいのだ。
村田さんの講座のタイトルは、
「名文を書かない文章講座」。
毎回、講座を終えるころには、
プロの村田さんが思わず、ほろりと心動かされる
エッセイをみんな書くようになるそうだ。
「ありがとう」そんな飾り気のない一言に心が
温まるように。きっとそこには、とびきりの、
普通のひとの普通の言葉がならんでいる。