音楽と人 バッハと神
モーツァルトは生活のために曲を書いた。
天才モーツァルトは音楽を愛好家する貴族の注文に応じて
すらすらとピアノ・ソナタを作曲した。
ベートーヴェンは野心のために曲を書いた。
自分の発表したピアノ・ソナタが
世間でどのような反響を起こすか。
それがつねにベートーヴェンの関心事だった。
ヨハン・ゼバスティアン・バッハは神のために曲を書いた。
バッハの音楽においては神が究極の聴き手であり、
神に音楽を捧げることで、バッハは人間としての完成をめざした。
音楽と人 バッハと神
モーツァルトは生活のために曲を書いた。
天才モーツァルトは音楽を愛好家する貴族の注文に応じて
すらすらとピアノ・ソナタを作曲した。
ベートーヴェンは野心のために曲を書いた。
自分の発表したピアノ・ソナタが
世間でどのような反響を起こすか。
それがつねにベートーヴェンの関心事だった。
ヨハン・ゼバスティアン・バッハは神のために曲を書いた。
バッハの音楽においては神が究極の聴き手であり、
神に音楽を捧げることで、バッハは人間としての完成をめざした。
音楽と人 バッハとコーヒー
18世紀の初頭、音楽は教会で演奏されるものだった。
その時代にバッハは街のコーヒーハウスで演奏会を開き、
音楽の裾野を広げた。
ただ、当時コーヒーハウスは女人禁制。
女性はコーヒーを飲むべきではないという風潮があった。
そんな風潮に反発して詩人のピカンテは
コーヒーはキスより素敵と訴える娘を主人公にした
『おしゃべりはやめて、お静かに』という戯曲を書き、
のちにバッハが曲をつけた。
『コーヒー・カンタータ』とも呼ばれるこの曲、
秋の夜に温かいコーヒーを飲みながら聴いてみたい。
音楽と人 バッハと国王
1745年、オーストリア王位継承戦争が集結すると、
プロイセン国王フリードリヒは宮廷に62歳のバッハを招いた。
バッハが到着すると国王は
「皆の者、老バッハが参ったぞ」と叫び、大いに歓迎し、
ピアノの演奏をバッハに依頼した。
国王の求めに応じて、バッハはみごとな即興演奏を披露した。
素晴らしい演奏に、その場にいる誰もが息を呑んだ。
のちにバッハは演奏を楽譜に起こし、
あらたに書き下ろした曲とともに国王に贈った。
バッハ最晩年の傑作『音楽の捧げもの』は
こうして出来上がった。
音楽と人 感情と音楽:レナード・バーンスタイン
何よりもすばらしいのは、
音楽が伝えることのできる感情の種類は無限だということである。
言葉で表現できない深い感情までも、音楽は明確に示してくれる。
そう語ったのは、ピアニスト、指揮者として
世界に名を知られるレナード・バーンスタイン。
このことは、彼が手がけたミュージカル、
つまり、音楽によって物語を紡ぐ作品を見るとよくわかる。
たとえば、ウエストサイドストーリー。
プロローグでは若者グループの対立が音楽にのせて描かれるが、
彼らの感情を表現する言葉は、ゼロといってもいいほどだ。
言葉は、人だけが操ることができる。
音楽もまた然り、である。
GUiBOY
音楽と人 体験と音楽:高木正勝
『おおかみこどもの雨と雪』、『バケモノの子』など
多くのヒット映画を音楽で支えるアーティスト、高木正勝。
彼は、国内外にかかわらず、自然に近いところで、
昔ながらの生活をする人たちが奏でる音楽に魅了されるという。
しかし、その音楽を真似することはできても、
同じ強さの表現に達することは、できないのだそうだ。
元になっている体験がないから出てこないんです。
山に柴刈りにいったり、火を熾したり、畑をしたり、祭りをしたり。
自分の身体で体験して初めて「こういうことだったのか」と
分かるものだらけなんです。
仕事の依頼が引きも切らない彼はいま、
兵庫県と京都府の境にある小さな村に住んでいる。
lee.chihwei
音楽と人 人生と音楽:久石譲
久石譲。
その名は多くの音楽とともに日本人の心の中にある。
世界中からのオファーで多忙な彼は、
意外にも、その日常はルーティンワークに占められるという。
延々とルーティンワークを繰り返していれば、
苦しくなって、逃げたくなるときはありますよ。
それでも音楽を続けるのは、僕にとって「音楽」というのは、
イコール「生きること」だからです。
人生が、一日一日を重ねていくように、
音楽もまた、一音一音を重ねて流れゆく。
楽譜通りに演奏しても全く同じ音楽にはならないように、
「おなじことを繰り返すだけの毎日」というのも、
本当はないのかもしれない。
音楽と人 小澤征爾とタクト
小澤征爾。
世界を代表する指揮者である彼が、
タクトを使っていないことにお気づきだろうか。
荒々しい曲では、こぶしを突き上げ、
ゆるやかな旋律には、やさしくほぐすような手つきで、指揮をする。
きっかけは、あるウイーンでの演奏会。
タクトを自宅に忘れ、急遽用意してもらったタクトもしっくりこず、
手だけで指揮をすることにした。
ところが、オーケストラの団員はだれも、そのことを気づかない。
そこで彼は思い切ってタクトを手放した。
小澤は言う。
そこの鉛筆、あなた持ってごらん。力がいるでしょう?
持っていたら、いろいろと考えなきゃいけない。
落としちゃいけないとか、飛んでいったら大変だとか。
世界の音楽を操るその手つきは、いつだって柔らかく伸びやかだ。
音楽と人 フランシス=プーランク
フランシス=プーランク。
20世紀のフランスを生きた作曲家。
生粋のパリっ子であり都会人であった彼の曲は、
ユーモアとアイロニー、そして知性にあふれている。
二度の大戦に従事したが、厳しい時代に生きたことを感じさせないほど
軽やかな音楽を奏で続け、「エスプリの作曲家」と言われた。
私の音楽を分析するな、愛せよ!
そう言い切るプーランク。
小難しく考えない。
楽しいことには、楽しく向き合ってみる。
時にはそう考えた方が、人生はちょっと楽しくなる気がしませんか。
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